介護保険を使う時に罰則が
Sさんは収入が減った時期に滞納した国保税と固定資産税を、毎月5万円ずつ分納しています。今年度の新しい税金も、全て完納しています。ところが今年の夏、一緒に頑張ってきた妻が脳梗塞で倒れてしまいました。介護度5と判定を受け、家で面倒を見るため介護保険を使おうと手続きを始めました。そこで市は「滞納した介護保険料があるので、来年夏まで利用料は3割」といいます。
家族で相談し、週2回の訪問看護だけ利用することにしました。「ショートステイも特養も使いたいけれど、払いきれない。1割になる前に家族が倒れなければ良いが…」と嘆いています。なぜ、こんなことがおきるのでしょうか?
保険料滞納分が3割負担に
介護保険料は滞納して2年以上さかのぼって納められなくなります。「払わなくて良くなった」とホッとしたいところですが、とんでもありません。実は、保険料滞納者への罰則(ペナルティ)があるのです。こうやって消された保険料の納付月数に応じて、いざ介護保険を使おうとした時に本来は1割の利用料負担が3倍に膨れ上がります。期間中は、高額サービス費の適用も行われません。
Sさん年金額が低いので介護保険料を年金から天引きできません。「1月当た当たり1万5千円以下の年金からは天引きできない」と、さすがの国も決めたからです。大変な時期に高い保険料が払いきれずに滞納した分が1年分ほどあったので、その分の月数が3割負担とされたのでした。
伊勢崎市でこの罰則の対象になった高齢者は、昨年度21人でした。最長は45ヶ月間です。市は「国がやれと言うから…」といいますが21人中19人は本人非課税の低収入の人でした。県内でもこのような人に罰則を実施していない自治体もあります。「高い保険料を低収入の人にも押しつけ、滞納したら罰則」という酷い制度を変える立場にこそ、市も立ってほしいものです。
介護保険課では「罰則を免れるには、百円ずつでも良いから滞納保険料を払って欲しい」とも言っています。滞納者に罰則の存在と回避方法を事前によく知らせ、適用を減らす努力も必要です。