私は、日本共産党議員団を代表して、議案第45号平成24年度伊勢崎市水道事業会計予算について、反対の討論をさせて頂きます。
 水道事業会計は平成7年度購入の水道庁舎用地の2万平方メートルを超す残地を、新年度中にようやく群馬県教育委員会に売却することとなりました。
 売却予定地の簿価は11億5,465万5千円、売却予定額は5億8千万円で、簿価上の売却損は5億7,465万5千円です。
 しかし、実際の市民の負担はそれ以上です。用地購入時に水道会計から投入された額が8,708万5千円、起債に対する来年度末までの元利償還合計額が11億5,969万円。加えて、水道庁舎用地の目的を変えて売却するために繰り上げ償還する予定額は、6億2,184万円とのことです。売却予定地のための総支出額は、18億6,861万5千円にのぼります。売却予定価格との差額は、なんと12億8,861万5千円です。購入から売却までの18年間に、こんな巨額がそっくり市民の懐から無駄に支出されることになります。
 この残地の生まれたそもそもの経緯については、平成17年度の予算審議で北島元雄議員に対して当時の水道局長がかなり率直に答えておられます。必要と考えていた面積よりも広かったけれど、今買っておかないとチャンスを逃すと、とにかく買ってしまった。長年の計画があって購入したなら購入と同時に将来的な利用計画もすぐ立てられるけれど、逆に土地を購入したあと財政状況を見ながら将来計画を立てていこうとした。つまり、購入はしたものの明確な利用計画は無かった、ということです。
 利用計画が無いのなら根本的な対処をという私ども議員団の指摘にもかかわらず、清明高校がグラウンドとして使用を始めても「いつか活用するかも」と抱え込み続けました。平成21年3月議会のご答弁によれば、売却用地に係る固定資産税推計額は当時約7億円でした。売却への方針転換が遅すぎたつけは、売却額の下落、市民負担の増加となって現れたのです。
 水道庁舎用地問題は、計画なく巨額を投じて市役所の2倍の用地を買い、そのまま利用計画も立てずに市民に水道料金から借金返しをさせ続け、政策的な決断の遅れからついに実額で13億円近い損害を市民に与えて終わろうとしています。市民への説明責任についてお伺いしましたが、損益が出たのは土地の下落が大きな要因であり、今後は効率的・計画的に事業を行うことで責任を果たしたい、といいます。過大で不用な用地を取得し、市民に巨額の損失を与えたことに対する根本的な反省は、全くありません。
 重大な水道事業運営の誤りについて、結局誰も責任を負わないというのが、伊勢崎市政のあり方なのでしょうか?
 今後の水道事業運営に活かすべき問題点を探る検証の作業を行うことと、市民への説明責任を果たすことを強く求め、本予算についての反対討論を終わります。